先輩、AIに毎回同じ仕事を頼むたびに、長い説明を書き直すのが大変です……。
Agent Skillsを使うと、仕事の目的・手順・品質基準をAIが再利用できる形に整理できますよ。
Skillって、詳しい人だけが作れる特別な設定なのでしょうか?
最初に用意する情報は4つだけです。この記事で、初心者がSkillを設計して検証する流れを学べます。
Agent Skillsは、AIに繰り返し仕事を依頼するときの「目的・手順・判断基準・検証方法」をまとめて再利用する仕組みです。Claude CodeやCodexで、文章作成、Web制作、調査、アプリ開発などの作業品質を安定させるために使えます。
この記事では、Agent Skillsの考え方から、SKILL.mdの設計、評価、改善までを一つの講座として整理します。読了後は、自分の仕事をAIが再現できるSkillへ変換するための設計図を作れるようになります。
この記事で学べること
- Agent Skillsが担う役割と、強いSkillの条件
- 初心者が最初に整理する4つの情報
- コピペで使えるSkill作成プロンプト
- 意図の整理から検証まで進める12ステップ
- 8層設計、発火評価、出力評価、修復ループ
Agent Skillsは小さな業務システム
Skillは、AIへ毎回同じ説明を送るための長い文章です。仕事の目的、入力、出力、成功条件、失敗パターン、検証方法をまとめ、AIが同じ手順を繰り返せる状態を作ります。
強いSkillには、次の仕組みがあります。
- 情報が足りないときに、先に質問する
- 成果物を検証してから完了を報告する
- 失敗した箇所を記録し、次の作業へ活かす
- 同じ修正を繰り返すとき、方針を見直す
- 人間の承認が必要な操作を明確に止める
Skillの価値は、AIの能力を引き出す業務の型にあります。
初心者が最初に用意する4つの情報
Skill設計の入口で、次の4つを整理します。
- どんな作業を繰り返しているか
- どんな状態になれば成功か
- どんな失敗を避けたいか
- 理想に近い参考例があるか
たとえば「ブログ記事作成Skill」なら、次のように書けます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 繰り返す作業 | 素材を読み、初心者向けの記事に整える |
| 成功条件 | 読者が元資料を読まずに内容を理解できる |
| 避けたい失敗 | 事実の追加、重複、AIらしい抽象表現 |
| 参考例 | 自分が過去に書いた記事、理想のブログ |
この4つがあれば、AIに不足情報を質問させ、ファイル構成や検証方法まで設計させられます。
そのまま使えるSkill作成プロンプト
Claude CodeまたはCodexに、次のプロンプトを貼り付けます。[ ]の部分を自分の内容へ置き換えてください。
あなたはAgent Skills Architect、Workflow Engineer、Evaluator Designerです。
私はAgent Skills制作の初心者です。
専門用語やファイル構成を理解していなくても、Claude CodeまたはCodexで使える完成済みSkillを設計してください。
利用可能なファイル操作ツールがあれば、Skillフォルダと必要ファイルも作成してください。
■ 作りたいSkill
作業内容:[一文で書く]
利用環境:[Codex/Claude Code/両方/分からない]
実現したいこと:[分かる範囲で書く]
依頼例:[1〜3個]
避けたい失敗:[絶対に避けたいこと]
参考例:[あれば記載。なければ「なし」]
品質レベル:[簡易/実務品質/最高品質/分からない]
■ 初心者対応
情報が不足している場合は、最初に最大7問をまとめて質問してください。
「分からない」「おまかせ」と答えた項目は、3案を示して推奨案を選んでください。
作業を進められる項目は既定値を採用し、assumptions.mdに記録してください。
専門用語には一行の説明を付けてください。
公開、課金、デプロイ、データ削除、認証情報の変更は、人間の承認なしに実行しないでください。
■ 必須成果物
brief.md、acceptance-criteria.md、assumptions.md、SKILL.md、検証用ファイルを作成してください。
発火条件、入力、出力、成功条件、失敗パターン、検証方法、修復ループ、終了条件を設計してください。
最後に、実行した検証コマンドと結果を報告してください。
最初はSkillの目的を一文で書けば始められます。 設計と検証はAIに段階的に進めさせます。
Skillを設計する12ステップ
STEP 1〜3:意図、発火条件、ルールを整理する
曖昧な依頼を、目的、対象ユーザー、入力、出力、成功条件、絶対条件、対象外の作業、想定失敗へ変換します。brief.md、acceptance-criteria.md、assumptions.mdへ記録します。
次に、Skillを使う依頼と対象外の依頼をdescriptionへ書きます。Skill名を直接呼ばれなくても、目的や作業内容から発火できる表現を含めます。
ルールは3段階に分けます。
- HARD GATES:必ず守る条件。違反したら不合格にする
- DEFAULTS:通常時に採用する既定値
- PREFERENCES:品質を高めるための好み
STEP 4〜5:ファイル構造とSKILL.mdを作る
skill-name/
├── SKILL.md
├── USAGE.md
├── references/
│ ├── domain-knowledge.md
│ ├── quality-rubric.md
│ └── failure-patterns.md
├── evals/
│ ├── trigger-evals.json
│ └── output-evals.json
└── scripts/
SKILL.mdにはMission、When to use、When not to use、Inputs、Workflow、Hard gates、Quality rubric、Verification、Repair loop、Stop conditions、Completion reportを置きます。長い知識や参考例はreferences/へ分けます。
STEP 6〜8:改善ループと検証を組み込む
作業を次の順番で回します。
PLAN → BUILD → RUN → OBSERVE → GRADE → REPAIR → RETEST → STOP
複雑な成果物では、作る役と採点する役を分けます。Webならブラウザで操作し、アプリならUI・API・保存状態を確認します。
ファイル存在、JSONの妥当性、禁止文字列、型エラー、リンク切れのような機械的な確認は、スクリプトで判定します。--helpを用意し、破壊的な処理には--dry-runを付けます。
STEP 9〜12:評価、修復、完成報告
trigger-evals.jsonへ、発火すべき依頼と対象外の近い依頼をそれぞれ8〜10件入れます。口語、短文、長文、誤字、Skill名を出さない表現も含めます。
output-evals.jsonへ、通常ケース、曖昧ケース、境界ケースを最低3件用意します。主観品質を比べるときは、旧版と新版を隠したブラインド比較が有効です。
失敗をTrigger、Context、Procedure、Tool、Verification、Evaluator、Stop condition、Memoryのどこに分類できるか考えます。改善は最大3回を目安に進め、最も評価が高いチェックポイントを採用します。
完成報告には、Skill名、保存場所、できること、発火例、対象外の例、検証コマンド、検証結果、残っている制約を含めます。
Skillを8層で設計する
12ステップは、実行時の役割として次の8層に整理できます。
- Trigger Router:使うべき依頼を見分ける
- Intent Compiler:曖昧な依頼を作業契約へ変える
- Context Loader:必要な知識だけを読み込む
- Rule Compiler:ルールを検査可能な条件へ変える
- Maker:成果物を作る
- Checker:別の視点で評価する
- Repair Loop:失敗箇所を修正して再検証する
- Durable Memory:知見と状態を次回へ残す
設計時は12ステップ、実行時は8層というように使い分けると、Skill全体の役割が見えやすくなります。
Claude CodeとCodexで共有できる設計
両方の環境で使うSkillは、共通のSKILL.mdを中核にします。保存場所と呼び出し方は環境ごとに確認します。
| 項目 | Claude Code | Codex |
|---|---|---|
| プロジェクト用 | .claude/skills/skill-name/ | .agents/skills/skill-name/ |
| 全体共通 | ~/.claude/skills/skill-name/ | ~/.agents/skills/skill-name/ |
| 呼び出し | /skill-name | $skill-name |
Skill名は小文字・数字・ハイフンで統一し、フォルダ名とname:の値を完全に一致させます。
SKILL.mdの基本テンプレート
name: your-skill-name
description: >
Use this skill when the user wants [目的] and the task requires
[専門工程・検証・対象形式]. Use it for [代表例].
Do not use it for [対象外の作業].
compatibility: Designed for Codex and Claude Code compatible Agent Skills clients.
metadata:
version: "1.0.0"
Mission
Primary user: [対象]
Main outcome: [成果]
Main risk to prevent: [失敗]
Instruction priority
HARD GATES > Acceptance criteria > Defaults > Preferences
Workflow
Compile → Inspect → Plan → Build → Run → Verify → Repair → Retest → Stop
Hard gates
- [絶対条件]
- 検証前に完成報告をしない
- 失敗した検証結果を合格として報告しない
- 承認が必要な操作を自動実行しない
今日から始める実践チェックリスト
- [ ] 繰り返している作業を一文で書く
- [ ] 成功条件を具体的な状態で書く
- [ ] 避けたい失敗を3つ書く
- [ ] 理想に近い参考例を1つ選ぶ
- [ ] Skill作成プロンプトをAIへ渡す
- [ ]
SKILL.mdと検証ファイルを確認する - [ ] 実際の依頼で発火と出力を試す
- [ ] 失敗例を評価ファイルへ追加する
まとめ
Agent Skillsは、AIへ仕事の型を渡す仕組みです。設計の入口で必要な情報は、繰り返す作業、成功条件、避けたい失敗、参考例の4つです。
その情報をもとに、AIへ意図の整理、発火条件、工程、評価、修復ループ、記憶の保存まで設計させます。今日の作業を一文で書くことが、あなた専用のSkillを作る最初の一歩です。
*参考:@ai_ai_ailover氏のX投稿をもとに再構成*
