上がった株を買いたくなる?投資家データで見えた判断の癖
最近よく上がった株を見ると、「この先も上がるかも」と感じることがあります。反対に、「上がりすぎたから、そろそろ下がる」と考える人もいます。こうした予想の癖は、実際の売買とどう結び付くのでしょうか。
研究者が調べたこと
Steffen Andersenさんらは、投資に関する実験で測った予想の癖と、個人投資家の実際の取引記録を組み合わせて分析しました。論文の要旨からは取引記録の人数や対象範囲を確認できなかったため、ここでは人数を記しません。
研究者が「外挿型」と呼ぶ人は、最近の動きがこの先も続くと予想しやすい人です。「逆張り型」は、最近の動きがいつか元に戻ると考えやすい人です。
見つかった関連
外挿型の投資家は、逆張り型の投資家と比べて、過去によく値上がりした株を買う傾向が強くありました。売却した株の利益の出方にも、予想の癖との関連が見られました。
この研究の面白さは、実験で測った考え方を、実際の売買記録と結び付けたところです。人が「こう考える」と答えた内容だけでなく、現実の取引にもその特徴が表れるかを調べました。
生活や仕事で参考にできること
この結果から、値上がりした株を買えばよい、あるいは逆張りをすればよいという投資ルールは導けません。研究が示したのは、予想の癖と売買行動に関連があることです。
投資を考えるときは、買う理由、持つ予定の期間、考えが変わる条件を先に書いておくと、自分の判断を後から見直せます。「最近上がったから」という理由が中心になっていないかを確かめるための工夫です。この方法自体の効果を論文が検証したわけではありません。
まだわからないこと
この研究は、実験で測った予想と取引データの関連を分析しています。予想の癖が売買を引き起こしたのか、ほかの要因も関わったのかを、この結果だけで決めることはできません。また、論文要旨だけでは標本数や年齢構成、効果の大きさを確認できませんでした。本文を確認して、どの市場や期間のデータかを精査する余地があります。
論文情報
- 英語タイトル:Extrapolators and contrarians: Forecast bias and individual investor stock trading
- 日本語タイトル:外挿型と逆張り型:予測の偏りと個人投資家の株式取引
- 著者:Steffen Andersen, Stephen G. Dimmock, Kasper Meisner Nielsen, Kim Peijnenburg
- 発表日:2026年4月17日オンライン公開
- 掲載誌:*Journal of Financial Economics* 181(2026年7月号), Article 104291(査読済み・オープンアクセス)
- DOI:10.1016/j.jfineco.2026.104291
- 原著論文:出版社の論文ページ
- 確認範囲:出版社の要旨と書誌情報を確認。人間の個人投資家の取引記録と実験で測った予想を結び付けた研究です。因果効果を示す無作為化実験ではなく、関連を調べた分析です。
投資判断では、相場の動きと自分の予想を分けて眺めることが、考え方の癖に気づくきっかけになります。