幸せを高める方法は一つ?183件の研究を比べた結果
運動、ヨガ、マインドフルネス、親切な行動。気分や暮らしの満足度を高める方法はいろいろあります。では、どの方法がいちばん役立つのでしょう。2026年に公開された大規模な研究レビューは、183件の比較試験を集めて、この問いを調べました。
どんな研究?
Lowri Wilkieさんらは、ウェルビーイングを高める方法を調べた183件のランダム化比較試験をまとめました。参加者は合計22,811人で、診断された病気の治療を受けている人を対象にした研究は除かれています。参加者の平均年齢は38.3歳で、範囲は18〜82歳でした。
研究チームは、複数の方法を共通の基準で比べる「ネットワークメタ分析」を行いました。たくさんの研究を一つの地図にまとめ、同じ試験で直接比べていない方法も、共通の対照群を手がかりに比べる方法です。
わかったこと
運動、ヨガ、マインドフルネス、思いやりを育てる練習、ポジティブ心理学のプログラムなど、多くの方法で、何もしない対照群よりウェルビーイングが高まりました。活動を組み合わせた方法にも可能性がありそうです。
運動と心理的なプログラムを組み合わせた方法は、分析上もっとも大きな改善値(標準化平均差0.73)を示しました。標準化平均差は、別々の物差しを使った研究の結果を比べやすくする数値です。ただし、この結果は3件の試験に基づき、推定の幅も広めでした。数が少ないため、この組み合わせが誰にとっても最適とは決められません。
マインドフルネス、思いやりを育てる練習、ポジティブ心理学、ヨガ、運動の改善値はおよそ0.41〜0.49で、中くらいの効果としてまとめられました。介入同士を比べたとき、はっきりした優劣は確認できませんでした。つまり、万人に共通する一位を決める証拠はまだありません。
暮らしで試すなら
研究結果は、自分が無理なく続けられる活動を選ぶ考えを支えています。散歩、軽い運動、ヨガ、呼吸に意識を向ける時間、人と話す時間などから、気になるものを一つ試してみる方法があります。
これは研究チームが特定の方法を全員に勧めたという意味ではありません。自分の気分や負担を簡単に記録し、続ける価値を確かめるための実践案です。気分の落ち込みが強く続く場合は、専門家への相談も選択肢になります。
結果を読むときの注意
集められた研究の多くは、参加者の割り当てや評価に偏りが残る可能性がありました。研究の約79%は欧米諸国で行われています。文化や生活環境が違う人にも同じ結果が当てはまるか、さらに確かめる必要があります。出版されやすい結果が集まりやすい「出版バイアス」の可能性も示されました。
このレビューは人を対象とした介入試験をまとめています。平均年齢は真紀の年代より若めですが、参加者は18〜82歳にわたります。50代の人だけの結果や、年齢別の最適な方法を決める研究ではありません。
論文情報
- 英語タイトル:A systematic review and network meta-analysis of randomized controlled trials of well-being-focused interventions
- 日本語タイトル:ウェルビーイングを高める介入の無作為化比較試験:系統的レビューとネットワークメタ分析
- 著者:Lowri Wilkie, Zoe Fisher, Antonia Geidel, Isabel Goodall, Shannon Kamil, Elen Daviesほか
- 発表日:2026年1月2日
- 掲載誌:*Nature Human Behaviour* 10, 715–726(査読済み・オープンアクセス)
- DOI:10.1038/s41562-025-02369-1
- 原著論文:出版社の全文ページ
- 確認範囲:原著全文を確認。人を対象にした183件のランダム化比較試験の系統的レビューとネットワークメタ分析です。
役立つ方法は、研究上の順位だけで決まりません。自分の暮らしに合い、続けやすい方法を選ぶことも大切な手がかりです。